(沖 有人:スタイルアクト代表取締役、不動産コンサルタント)
コロナショックはマンション価格を下げそうだ。その価格がどのように動きそうかが分かっていれば、売り時と買い時を的確にとらえて行動することができるようになる。このシナリオを描くためには、これまでに起こったことを理解するところから始まる。
新築マンションの立地が悪化した理由
ここ数年の新築マンションの立地は極端に悪い。立地が良いのは再開発の中にある大型物件だけと言ってもいいぐらいだ。なぜこんなことになるかと言うと、優良な分譲マンション用地はオフィスなどと競合してしまうからだ。過去を振り返ると、景気がいい時期はオフィス有利、不景気の際はマンション有利になる。
これに加えて、コロナショックの前までは、外国人観光客の増加とオリンピック特需なども見越して、ホテルが最も収益性が良かった。都心の高い建物が建つ用地は、ホテル > オフィス > マンションの順に検討が加えられた。コロナショックの前まで、マンションが最も不利だったのだ。ゆえに、リーマンショック前の2005~2009年やアベノミクス後期の2015年以降は景気がいいので立地が悪く、不景気だった2001~2004年、2010~2014年は立地がいいし、価格も安かった。
今回のコロナショックで、ホテルと商業施設の収益性が極端に悪化した。それはJ-REIT(日本版不動産投資信託)の投資口価格(株価)が半減したことから明らかである。オフィスも企業業績の悪化に見舞われる影響が需要の減退に直結するので、市況は稼働率の低下に表れる可能性が高い。そこで今注目されるのは住宅、つまりマンションである。