厚労省の研究では日本のギャンブル依存症の4割近くが高齢者という統計があります。多くのサラリーマンが定年後に大きな喪失感に陥ります。家庭での居場所や趣味、仲間も居ないという人たちが酒やギャンブルにのめり込んでしまうと言われているのです。

 3月6日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の早稲田夕希議員が、「リスクの低い学校は突然休校になり、対極にあるパチンコ屋は規制にならない」と、パチンコ店の休業について働きかけを考えるべきではないかと質問をおこないました。

 それに対し、武田良太国家公安委員会委員長は、休業要請など民間企業に介入することの難しさや、対策としてハンドルの消毒をおこなうことや、自主的に休業をしている店舗があることの答弁をおこないました。

(参考動画)Nth国会:
https://www.youtube.com/watch?v=1r0EoYf3_Jg(12分3秒過ぎ)

政治家は国民全体の利益を優先して考え行動すべき

 松下幸之助は『THE21 特別増刊号 松下幸之助の夢 2010年の日本』(1994年10月)のなかで、国会議員の基本的な条件を次のように述べています。

「自分のこと以上に国家国民の繁栄、平和、幸福を思う心がなければならないということ。どの党に属そうとも、党利党略にとらわれてはならないし、どのような団体から推されて議員になろうとも、その団体の利害に左右されてはならない。あくまで、国民全体の利益を優先して考え行動する。その意味で、『一人一党』でなければならない」

 まさに正論だと思います。しかしながら、現在の政治家の振る舞いを見ていると、大口の献金者の利益を優先させているように見えてなりません。ひいてはそれが、国民の健康や安全を危険にさらすことに繋がってはいないでしょうか。

 現在は、新型コロナウイルスに感染しないことと同時に、もしも自分が感染しても他人にうつさないことが大切です。感染しても無症状の人もいるので、誰もが「もしかしたら自分は感染者かもしれない。誰かと接触したり人込みに入ったりしたら、他人にうつしてしまう可能性がある」と考えて行動しなければならないのです。

 しかし、先週、「週刊ポスト」が、首相夫人に昭恵さんが仲間と桜をバックに笑顔で収まっている集合写真を報じましたが、この行為はいかがなものでしょうか。国や都が実質的な外出禁止、宴会などの自粛を要請するなかで、世論はどう受け止めたのでしょうか。首相や都知事の、私たちに対する「要請」も、どこか白々しく聞こえてしまいます。

 首相や都知事が緊急記者会見と称して国民の不安を煽るだけでは何も解決しません。支持者や大口献金者の利益を優先するようなことなく、科学的知見に基づいた対策こそが求められています。いまこそ、政治家の叡智を発揮してほしいと思います。