こうして、ヨーロッパ大陸の諸国は、イタリアやフランスのように、外出禁止令を敷き、国全体を封鎖する厳しい措置をとっている。フランスでは、10万人の警察官を動員して3月17日から15日間の外出禁止措置を導入したが、この措置の効果で、今後8〜12日以内に感染が終息に向かうと期待されている。

軽症者も入院させたことで起きた医療崩壊

 日本では、2月28日に北海道で緊急事態が宣言されたが、それに伴う措置は19日で終了することになった。鈴木知事によると、「爆発的な感染拡大と医療崩壊は回避された」という判断することができたからである。

 この北海道のように順調に行けばよいが、そもそも北海道の感染者は154人であり、イタリアが4万1035人、スペインが1万7147人、フランスが1万995人、ドイツが1万999人という数字に比べて桁違いに少ない(3月20日現在の数字)。初動が早かったことがウイルスの封じ込めに成功した理由であろう。

 イタリアで急速に患者が広まったのは、中国人観光客や渡航歴があるなど中国との関連の深い者のみに注意し、国内でのヒト・ヒト感染に気づくのが遅れてしまったからである。しかも、イタリア北部で、イタリア人の患者が急増し、トリアージュすることなく、軽症者も重症者も入院させたために医療崩壊が起こってしまった。死者の数は、中国の3245人を抜いて、3405人となっている。

 因みに、この例を以て、PCR検査は患者を増やしてマイナスだという論を展開する者がいるが本末転倒である。

 アメリカでも感染者1万人を突破し、死者も140人を超えており、ヨーロッパと同様に急速に蔓延している。専門家たちは、当初から新型コロナウイルスの危険性についてトランプ大統領に警告したが、彼が聞き入れず、甘く見ていたことが批判されている。

 そして、日本と同様にPCR検査が十分に実施されておらず、この点でも、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)も含めて、トランプ政権が厳しく追及されている。