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「自分はこのままでいいのだろうか」──そんな悩みを抱えるビジネスパーソンに、「Yahoo!アカデミア」の学長、伊藤羊一氏は新著『やりたいことなんて、なくていい。』(PHP研究所)の中で、「未来に悩む前に自分の過去を振り返ってみよ」とアドバイスを送る。

 Yahoo!アカデミアは、ヤフーグループの次世代リーダー育成を行う企業内大学である。自分の過去を振り返る作業は組織のリーダーにも欠かせない。過去の経験の振り返りは、リーダーシップを身につけ組織の未来を描くための重要なカギになるからだ。

 なぜリーダーは過去を振り返るべきなのか。Yahoo!アカデミアではどのような方法でリーダーを育てようとしているのか。伊藤氏に話を聞いた。

リーダーに必要なのは「マインド」

──ヤフーでは組織的にリーダーを育てようとしていますが、会社を率いるリーダーは、自然に育って現れるのを待つのではなく会社を挙げて育てる必要があるいうことでしょうか。

伊藤羊一氏(以下、敬称略) ヤフーは常にハードな目標に向かっているのでリーダーが常に足りていない状態です。ですからリーダーが育つのを待つのではなく、人財を発掘して、できるだけ早く多くのリーダーを育てる必要があると考えています。

──リーダーは育てられるものですか。

やりたいことなんて、なくていい。』(伊藤羊一著、PHP研究所)

伊藤 僕はリーダーシップとは完全に後天的なものだと思っています。というのも、卓越したリーダーはみんな何かしらの「きっかけ」があってリーダーシップを身につけていったんですね。例えば、ビル・ゲイツにしてもスティーブ・ジョブズにしても若かりし頃コンピューターに出会うという決定的な体験があり、そこから「行動」が始まった。行動していく中でいろいろ失敗しながら真のリーダーになっていったわけです。「きっかけ」というのは外から与えられるし、リーダーになるための「行動」の習慣も教えられると考えています。

──伊藤さんは日本興業銀行、プラスを経て2015年にYahoo!アカデミアの学長に就任しました。その時点で、こういうリーダーを育てるんだという具体的なリーダー像はありましたか?