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(廣末登・ノンフィクション作家)

 就職率約3%——この数字は、2010年度から2018年度にかけて、暴力団離脱者のうち就職できた人の割合だ(数字は、警察や暴追センター等で構成される社会復帰対策協議会を通じて暴力団を離脱した者と、就労人員の推移)。暴排条例が全国で施行された2011年度からの数年間は、1%未満だったから、若干、改善しつつあるものの、依然として低い数字であることは否めない。

2010年度 暴力団離脱者 630人 就職者数 7人
2011年度 暴力団離脱者 690人 就職者数 3人
2012年度 暴力団離脱者 600人 就職者数 5人
2013年度 暴力団離脱者 520人 就職者数 9人
2014年度 暴力団離脱者 490人 就職者数 21人
2015年度 暴力団離脱者 600人 就職者数 18人
2016年度 暴力団離脱者 640人 就職者数 27人
2017年度 暴力団離脱者 640人 就職者数 37人
2018年度 暴力団離脱者 643人 就職者数 38人

 2010年、福岡県を皮切りに総合的な暴力団排除条例(以下、暴排条例)が全国の都道府県で施行されはじめてから9年間、全国で暴力団離脱者は合計5453人で、そのうち就職者数は約3%のわずか165人となっている。残りの約97%の離脱者はどこに行ったのだろうか。さらにいうと、ここで就職したとされる離脱者のうち、その職場に定着して、継続的に仕事をしている人はどれほどいるのか。残念ながら、追跡調査のデータは存在しない。

 就職率約約3%いう数字をみても、2003年から暴力団研究を行ってきた筆者は、昨今、暴力団排除、反社排除の世相と、自身の経験に照らして違和感はない。しかし、この165人の方が、現在も仕事を続けているかという点については、一抹の不安を抱いている。

元暴5年条項という社会権の制約

 社会復帰が進まない理由のひとつに、暴排条例が内包する「元暴5年条項による障壁」が指摘される。暴排条例においては、暴力団を離脱しても、一定期間(おおむね5年間)は、暴力団関係者とみなされ、銀行口座を開設することも、自分の名義で家を借りることも、携帯電話の契約も、保険などへの加入もままない現状がある。教習所に通ってバイクの免許を取ろうとしたら断られたと、知り合いの離脱者(10年以上前に離脱)は言う。