日本の場合、天然ガス生産国との間にパイプラインが敷設されていないため、輸入はすべて液化天然ガス(LNG)の形態を取っている。
天然ガスの輸入相手国

では、LNGはどのような国々から輸入されているのであろうか。
2010年における輸入相手国別シェア(重量ベース)を示すと、【図1】の通りである(日本国財務省貿易統計データより筆者作成)。
この図を見ると、マレーシア、オーストラリア、インドネシアというアジア・オセアニアの3カ国で全体の約57%(以下、「約」の表記を省略)。
ブルネイも含めた4カ国では65%を占めている。
一方で、中東への依存度はそれほど高くはない(中東のカタール、アラブ首長国連邦、オマーンは合計で22%)。
新規LNG供給国としてのロシア
また、その一方で、ロシアが8%で第5位となっている。これは、三井物産および三菱商事も出資する「サハリン2」プロジェクト(ロシア国営ガスプロム、ロイヤル・ダッチ・シェルが主要株主)からの供給によるものである。

このロシアのプレゼンスの増加は、2005年のデータと比べると一目瞭然である。
2005年におけるLNGの輸入相手国別シェア(重量ベース)は、【図2】の通りとなっている(日本国財務省貿易統計データより筆者作成)。
2010年時点で第3位の18%を占めるインドネシアは、2005年時点では25%で第1位につけていた。
つまり、2005年から2010年にかけての5年間でインドネシアはシェアを7%落とし(輸入量も10.2%減少している)、その分をロシアが埋めたという構図になる。
また、この5年間において、2005年時点で全体の4分の3以上の76%を占めていたアジア・オセアニア4カ国のシェアは、2010年には65%まで低下している。