一方、家庭用燃料電池は、発電を行うと同時に発生した排熱を利用して給湯も行うため(「コージェネレーション」)、最終的なエネルギー効率は、電気36%と排熱利用41%を合わせた81%になる

 さらに、家庭用の太陽光発電装置と組み合わせれば、一般家庭が消費する電力の85%を賄えるという。

「水の電気分解」の逆の反応で発電

 この家庭用燃料電池を動かすには、水素と酸素が必要となる。後者は空気中に存在するものを利用すればいいが、前者は空気中にほとんど存在しないため、メタンガスを主成分とする天然ガスと水蒸気とを反応させて取り出すことになる。

 そして、取り出した水素を酸素と反応させる、すなわち、電気分解反応<水+電気→水素+酸素>(その際、吸熱反応で水温は低下)の逆のプロセスを行う<水素+酸素→電気+水>(その際、発熱反応で水温は上昇)ことで、発電と蓄熱を行うメカニズムになっている。

 なお、熱エネルギーは断熱された容器さえあれば容易に貯めることができるため、貯めるのに蓄電池を必要とする電力よりも、エネルギーの効率利用がしやすいという特長も持つ。

LNGの供給と輸送

 上記の燃料電池において原料として必要とされるのは天然ガスであり、これから夏にかけて増設されるガスタービン発電装置(LNG火力発電)の燃料も天然ガスである。

 そこで問題となってくるのが、燃料・原料となる天然ガスの供給体制である。天然ガスは、日本国内の一部地域(新潟県や千葉県など)で生産されているものの、その供給源の大部分は外国となっており、輸入への依存度が高い。

 天然ガスは産出時点では気体の状態であるが、その輸送形態は、気体の状態でパイプラインによって輸送する方式と、摂氏マイナス162度まで冷却して「液化」したものをタンカーで輸送する方式の2通りに分けられる。

 パイプライン方式は液化方式よりもコストが安くなるというメリットがあるが(液化するプロセスを省けるため)、一方で供給国が固定化されるというデメリットもある。