新型コロナウイルスへの対策を指示する中国の習近平国家主席(2月10日北京で、写真:新華社/アフロ)

 中国だけですでに1600人以上の死者が出ているコロナウイルス肺炎で、懸念していた「原因可能性」の報道がありました。

 香港のメディアによると、中国広東省、華南理工大学の肖波涛教授の発表した論文において、新型コロナウイルスが、コウモリか中間宿主を経て人に伝染した可能性より、湖北省武漢のバイオテクノロジー研究施設2か所のいずれか(あるいは双方?)から流出して蔓延した可能性を指摘した、というのです。

 つまりこれは「バイオハザード」、自然界で発生した「天災」の流行疫ではなく、人為が介在して蔓延した伝染病だということになる。

 この両者の間いには「事故」と「事件」くらいに、天地がひっくり返るほど大きな違いを指摘しなくてはなりません。

研究所からウイルスが漏れた可能性

 新型コロナウイルスは、武漢の華南水産市場で集中的に検出、確認されました。

 肖教授によれば、この生鮮マーケットの近くには、2つのバイオサイエンスの研究所が存在するのだそうです。

 一つは「武漢ウイルス研究所」。もう一つが「武漢疾病対策予防管理センター」。

 武漢ウイルス研究所は、マーケットから12キロの距離にあるといいます。12キロといえば、首都圏なら川崎と横浜の距離に当たる。

 川崎で肺炎が蔓延すれば、横浜に伝染するのは、まあ時間の問題でしょう。目と鼻の先にある距離といって決して過言ではありません。

 しかし問題は「武漢疾病対策予防管理センター」で、このセンターは、海鮮市場からわずか280メートルの距離しか離れておらず、「隣接」といって構わない。