「ポリフェノールは体によい」はなぜ広まったのか

赤ワインを飲む口実にはならぬほど、含む食材は多種で豊富

2020.02.07(Fri)佐藤 成美

 体内には活性酸素から身を守る防御システムが備わっているが、歳をとるにつれてこの力は弱まる。すると、脂質の酸化やDNAの損傷などが起こり、動脈硬化のほか、心疾患や糖尿病、がん、認知症などの発症につながるのではないかと考えられている。

 この活性酸素による酸化を抑える抗酸化物質として、以前よりビタミンEやビタミンCの名が挙げられていた。その後、それらに匹敵する効果がポリフェノールにあることが研究で明らかになり、さまざまなポリフェノールがクローズアップされるようになった。

 だが、健康食品などで効果がさかんに強調され、広く知られるようになったものの、どうしてポリフェノールが健康によいのかが正確な情報として伝わるまでには至ってないようだ。

 ポリフェノールの種類は多く、種類によって吸収や代謝のされ方が異なるのが研究の難しいところである。効果が分かったとしても、実際に生体内でどのような反応をして効果をもたらすのかといった作用機序の解明にまではなかなか至らない。そのため、現在のところ、どんなポリフェノールをどれくらい摂取すれば健康維持に効果があるのかは、はっきりと分かっていない。

「総量がどのくらいか」が重要

「いくら赤ワインのポリフェノールが体によいからといって、お酒に弱い人が毎日無理して赤ワインを飲むことは現実的ではありません。ポリフェノールを含む食品はたくさんあるのですから、他のものを食べればいいのです」と近藤さんは続ける。

 フランスは赤ワイン大国だが、国によってコーヒーをたくさん飲む国もあれば、紅茶をたくさん飲む国もある。国によって食生活は異なるが、みなさまざまな食品からポリフェノールを摂取して、自然に抗酸化能を高めてきたのである。

「日本人の健康については大豆、特にみそ汁の摂取が貢献してきたのではないかと注目しています」と近藤さんは話す。日本人が昔からたくさん食べてきた大豆には、ポリフェノールの一種イソフラボンがたくさん含まれている。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る