「ポリフェノールは体によい」はなぜ広まったのか

赤ワインを飲む口実にはならぬほど、含む食材は多種で豊富

2020.02.07(Fri)佐藤 成美

 フランスのセルジュ・ルノー博士らは調査から、フランス人の心疾患による死亡率の低さは赤ワインの消費量と関係あることをつきとめた。動物性脂肪をたくさん摂取しても、赤ワインを飲んでいれば心疾患のリスクは高くならないと1991年に発表し、赤ワインブームが起きた。

 その後、1994年、赤ワイン摂取によりLDL(Low-Density Lipoprotein:低密度リポタンパク質)の酸化が遅延したとする報告をきっかけに、赤ワインの動脈硬化に対する作用が次々と報告された。

 動脈硬化とは、血管に柔軟性がなくなり血液が流れにくくなった状態のこという。心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくし、生命を脅かす。動脈硬化の危険因子には脂質異常症、高血圧、喫煙、加齢などがあり、これらが重なるとリスクは高くなる。脂質異常がらみでの大きな要因はLDLだ。

 ただし、LDLはそのままでは動脈硬化の原因にはならない。酸化され、変性すると、マクロファージによって粥状のかたまりになり、血管の内皮下に蓄積する。これが動脈硬化につながる。赤ワインのポリフェノールにはLDLの酸化を抑える効果があり、酸化を防げば動脈硬化を予防できることが示されたのである。

 ポリフェノール研究で知られ、上記の赤ワイン摂取によるLDLの酸化の遅延を見出した東洋大学教授の近藤和雄さんは、「動物性脂肪をたくさん食べるフランス人の体内には、おそらくたくさんのLDLがあるはずだが、赤ワインのおかげで酸化せずに済んでいるのだろう」と話す。

作用機序が未解明ゆえ効果の程もはっきりせず

 酸素は私たちが生存していくのに欠かせないものである。しかし、体内に取り入れた酸素のうち2%ほどは「活性酸素」になるといわれる。

 活性酸素は、他の物質を酸化させる力の非常に強い酸素である。体内では、ウィルスや病原菌などを攻撃する役目を果たしているが、増えすぎると正常な細胞や遺伝子も攻撃し、酸化させてしまう。LDLを酸化させるのも活性酸素である。

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