電車や地下鉄、バスなどの交通機関を利用する人の割合が高いため、交通事故の発生率が自ずと下がっているのだ。

 それでも国内の交通事故死は4年連続で4000人を切っており、減少傾向にはある。

 ちなみに日本国内に目を向けると、徳島県が10万人あたり5.57人で最も悪く、次いで5.54人の鳥取県がきている。2019年の日本の全国平均は2.54人だった。

 そうした中、ノルウェーの取り組みは国情の違いはあっても革新的と言っていいだろう。

 何しろ532万の人口で昨年、15歳以下の子供たちの交通事故死はゼロだったのだ。

 米国では4000人以上の子供たちが亡くなっている。人口が60倍以上であることを考慮しても、交通事故死をゼロにする取り組みの成果はでている。

 車社会に慣れ親しんだ地域では脱却が困難との考え方がある。

 ノルウェーやスウェーデンと同じ社会環境を踏襲することは難しい。たとえばニューヨーク市では2018年より2019年の方が、交通事故死者数が増えた。

 それは自転車と歩行者との衝突事故が増加したためだ。

 オスロ市政府は交通事故死者数がゼロになっても、「目標達成」と小躍りしていない。

 というのも、死者数ゼロからさらに目標を上げて、交通事故による負傷者ゼロへと取り組み始めているからだ。

 どの国でもどの地方自治体でも、地域にあった独自のビジョン・ゼロの取り組みがきっとあるはずである。