蔡総統再選にエールを送る香港市民は、今度は「今日の台湾は、明日の香港」というスローガンを掲げているという。そうなってほしいものである。

つまずいた習近平政権の強権的手法

 蔡総統は、勝利が確定した直後の記者会見で、「今回の選挙結果は、民主的な台湾が武力による脅威に屈しないことを証明した」と語った。この発言は、台湾統一のためには武力行使も辞さないという習近平国家主席の強権的姿勢に反撃したものだ。

 習近平は「台湾同胞に告げる書」発表40周年式典で、次のように語っていたのである。

「中国は平和統一のために広々とした空間を作り出す意思を持つが、さまざまな形式の『台湾独立』分裂活動にはいかなる空間も決して与えない。中国人は、同じ中国人を戦いの相手にしない。われわれは、武力の使用を放棄することを約束せず、あらゆる必要な措置を取る選択肢を保有するが、それはあくまでも外部勢力の干渉と極めて少数の「台湾独立」分裂勢力および分裂活動に対するもので、決して台湾同胞を対象とするものではない」

 だが、習近平の「中華民族の偉大な復興という中国の夢」は、今回の総統選挙によって大きくつまずいた。

 これまで日本も、アメリカも日中共同声明や米中共同コミュニケで「中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府」と承認してきた。だがこれが果たして正しいのだろうか。蔡総統は「一つの中国」を否定している。台湾の中にも、“我々は中国人ではない。台湾人だ”という意識が広がっているという。私は、この考え方に大いに共感する。