彼の唯一の目標は、次期大統領選挙で再選されることであり、それが数々の政策ミスを生み、多くの犠牲者を出している。

オバマ路線の否定に執着

 今回の米・イラン対立の発端は、2018年5月にアメリカがイランとの核合意から離脱したことにある。なぜトランプはその決定を下したのか。それは、前任者のオバマ大統領の政策だからである。自分はオバマとは違うということを見せつけ、政策の新しさを有権者に印象づけるためである。地球温暖化対策を盛り込んだパリ協定や自由貿易を推進する目的のTPPから一方的に離脱したのもそうである。

 最大のCO2排出国アメリカがパリ協定に参加しないことは、世界の地球温暖化対策を遅延させ、深刻な事態をもたらしつつある。また、アメリカ第一主義を掲げて保護貿易を進め、米中貿易摩擦などを引き起こして世界経済を減速させている。

 そして、イランをはじめとする中東諸国に対する政策も、再選という目的に適合することのみを考えたものである。たとえば、イスラエルやパレスチナに関する政策がそうである。

 エルサレムをイスラエルの首都と定めたり、占領地ヨルダン川西岸へのユダヤ人の入植を認めたり(これは国際法違反である)するなど、国際社会の反発を買い、パレスチナ和平を危うくする政策を展開している。トランプの狙いは、保守的な福音派キリスト教徒の支持を集めることあり、まさに選挙戦術そのものである。

 昨年の4月9日にはイスラエルで総選挙が行われたが、盟友ネタニヤフ首相の政党リクードを勝たせるために、その前日にトランプは、殺害されたソレイマニが指揮するイランの革命防衛隊をテロ組織に指定している。