イスラエルに核武装を認め、イランには認めないという「ダブルスタンダード」

 世界の核兵器をどう管理するかという問題について、トランプの政策が問題なのは、第一にダブルスタンダードであること、第二に非核化と核管理の区別が明確ではないことである。

 第二次大戦後の世界は、広島、長崎に原爆を投下されて敗北した日本をはじめ、ドイツ、イタリアなどの敗戦国は、戦勝国によって核兵器の保有を禁じられた。戦勝国であり、かつ国連安全保障理事会の常任理事国である米、英、仏、露、中国のみが核保有の権利を持つ核拡散防止条約(NPT)が締結された。しかし、これに反発するインドやパキスタンはNPTに参加せず、イスラエルもまた核兵器を保有している。

 イランにしてみれば、イスラエルの核武装は認めながら、イランには許さないというのはダブルスタンダードである。そこで、イランも秘かに核開発を始めたが、そのことが2002年に明らかになり、その開発を中止させるべく、国連の経済制裁が課されたのである。

 その上で、国連安保理常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国とイランとの間で交渉が進められ、2015年7月に核合意が成立した。

 イランは、非核化ではないものの、高濃縮ウランや兵器用プルトニウムは15年間生産しないことなど、核開発の大幅制限を受け入れた。そして、その見返りとして、制裁は解除され、原油や天然ガスの輸出を認められた。その結果、経済も上向きとなり、多くの日本企業も進出した。

 イランは、この核合意をきちんと守り、IAEA(国際原子力機関)もそのことを視察で毎回確認している。ところが、トランプ大統領は、15年という期限では不十分だとして、核合意から離脱し、原油、民間航空機、自動車部品などの輸出入禁止、イラン中央銀行との取引禁止などの制裁を再開したのである。

 その結果、イラン経済は壊滅的な影響を受け、国民の日々の生活は厳しいものとなっていった。そこでロウハニ政権は、1年間の辛抱の末、昨年5月に、低濃縮ウランと重水炉で使用する重水の保有量制限(前者が300トン、後者が130トン)を遵守しないとして、揺さぶりをかけたのである。