冤罪被害者を救済するために闘い続ける

 青木さんには、亡くなった長女の他に、当時8歳の長男がいましたが、逮捕以来、一人残された息子と暮らすことはもちろん、クリスマスやお正月を一緒に祝うことも叶いませんでした。

 ようやく刑務所から出てきたとき、彼は29歳の立派な大人になっていました。息子さんとのかけがえのない時間は、二度と取り戻すことはできないのです。

 何もしていないのに、わが子や孫への殺人罪や傷害罪に問われてしまった人々。『冤罪』の中でも、これほど受け入れがたい仕打ちがあるでしょうか。

 この会には、現在進行形で刑事裁判の被告人となっている人が複数参加しており、すでに一審で有罪になり、現在高裁判決待ちの人もいます。

 そんな苦しい状況に身を置く人たちに、青木さんは優しく、しかしきっぱりとした口調でこう語りかけました。

「20年も拘置所や刑務所に閉じ込められ、いきなり社会に出た私は、雨が降ったら傘をさすということすらわからなくなっていました。高速道路で車に乗せてもらったときには、どうして料金を払わないの? と聞きました。ETCが何だかわからなかったんです。無罪を勝ち取って社会に出て、自由になるのは嬉しいですが、これからどうやって生きていけばいいのか不安もあります。

 それだけに、今は『冤罪』に対して怒りしかわいてきません。それで、こんな思いをする人をこれ以上生んではいけないと思って、『冤罪犠牲者の会」に参加し、私にできる範囲で冤罪に苦しむ方を助けていきたいと思っています。やっていないのなら、絶対にあきらめないでください。心から応援しています」