通称「東住吉事件」、記憶している方もおられるでしょう。
1995年7月22日、大阪市東住吉区にある当時の青木さんの住居のシャッター付き駐車場で火災が発生。惠子さん(当時31歳)と内縁の夫のAさん(同29歳)、長男(同8歳)はすぐに屋外に脱出して無事でしたが、火元となった駐車場に隣接する浴室で入浴中だった長女(11歳)が焼死したのです。
捜査機関は、「青木さんと内縁の夫が長女の死亡保険金を搾取する目的で、ガレージに駐車していた車の燃料タンクから手動式ポンプでガソリンを吸引して駐車場の床に散布し、ライターで着火。結果的に住宅を全焼させ、入浴中の長女を殺害した」と推定。その後、拷問に近い取り調べを行い、二人はそのストーリーに整合する供述をさせられたのです。
「娘を救えなかったのは殺したのと同じこと」強要された自白
青木さんはときおり涙声になりながら、当時を振り返りました。
「逮捕後は、朝の9時から夜中の12時まで取り調べが続きました。背もたれのない丸椅子なので、座っているだけでしんどいんです。でも、私はやっていないので調書なんて書けないわけです。あるとき、椅子から崩れ落ちたこともありました。そうすると刑事は、『娘はもっとつらい思いをしたんや! なんで助けなかったんや!』と言うんです。あれは私にとって、一番つらい質問でした。答えられるわけがないんですよね。そのうち、頭がおかしくなっていくんです」