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 2019年の年末の話題で、非常に興味深かったものがある。それは、「忘年会スルー」という現象だ。

 忘年会は、いわば日本の職場の風物詩とも言えるものだが、ある若者が「#忘年会スルー」というツイッターを発したところ、燎原の火のごとく燃え広がったのだ。NHKや民放のワイドショー、それに大手新聞なども、こぞってこの話題を取り上げた。

「忘年会スルー」とは簡単に言えば、「若者が忘年会に行きたくない」というものだ。「会費を払うのがバカらしい」「アルコールを強制されるのが嫌」「上司にお酌なんかしたくない」「はっきり言って時間のムダ」「二次会なんてゴメン」・・・。これまで我慢を強いられてきた若者たちの怒りが、「#忘年会スルー」で爆発した格好だ。

 私がなぜ、この現象に注目したかと言えば、すでに10年前に中国で、同様の現象を体験していたからである。

中国事情に疎い日本人総経理が悩んだ「忘年会スルー」問題

 私は2009年から2012年まで、北京で日系文化公司の駐在員を務めていた。当時、1万人と言われた北京の日本人駐在員社会にあって、かなり風変わりな人間だったと、いま振り返っても思う。それは「中国化」していたからだ。

 当時、日本人駐在員の大半が、日本大使館近くの東苑公寓、光明公寓、龍宝大厦、Samersetという「4大日系マンション群」のいずれかに住み、北京の「日本人村」を形成していた。これらのマンションは掲示板も日本語で、日本のテレビが観られた。

 それに対し、私が住んでいたのは市の東郊にある純中国系マンションで、日本人はむろん、外国人さえ皆無だった。