中国ではキリスト教が弾圧されているという情報がある一方、中国のキリスト教人口は21世紀中に米国を抜いて世界一になるという予測もある。ベトナムや中国が次期訪問の有力候補である理由はそこにある。

 バチカンと中国の関係がどうなるのか、今回はこの背景について歴史的経緯を踏まえて、もうすこし詳しく見ておきたいと思う。

バチカンと中国の共通点

 現在、バチカンといえば、イタリアの首都ローマの中にある世界で最小の都市国家、バチカン市国を指す。バチカンにはイカトリック教会の総本山であるローマ教皇庁がある。

 ローマ教皇庁は、世界史における影響力の大きさからいえば、かつての英国や現在の米国のような「覇権国」に勝るとも劣らないパワーをもっていた。また、現在でも少なからず大きなパワーを持っている。しかも、現存する世界最古の巨大官僚組織でもある。近代の軍隊組織も、企業組織も、起源はすべてカトリック教会に行き着く。

 そのパワーの源泉は、全世界で約13億人のカトリック信徒である。中華人民共和国の人口も約14億人弱であり、人口数で見れば同規模となる。バチカンも中国も、ともに1人のトップを頂点にいただく中央集権的な組織構造をもつ点においては共通している。言い換えれば、トップダウン構造のピラミッド型組織である。

 ローマ教皇は、カトリック教会の精神的指導者であると同時に、主権国家のバチカン市国の元首でもある。ローマ教皇は、権威と権力を併せ持つ存在である。日本ではどうしても宗教的権威としての教皇に焦点があたりがちだが、最高権力者としての教皇の意味をよく理解しなくてはならない。

 カトリックは西欧中世においては絶対的な存在感をもっていたが、16世紀の宗教改革や18世紀末のフランス革命を経て、その存在は低下していった。現在ではバチカンのお膝元のイタリアでさえ信者数は減少しており、閉鎖される教会も多い。ある意味では「空洞化」が進行しているといってもいいだろう。

国別にみたカトリック人口(出所:Wikipedia
拡大画像表示