それでも反トランプの大手メディアであるニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビ、ABCテレビなどは、連日のように「トランプ大統領の新たな疑惑」を大々的に報じている。報道された情報はみな未確認だが、すべて事実として提示し、トランプ大統領がまもなく辞任に追い込まれるような論調である。

 こうした状況について共和党側の下院情報委員会の有力メンバーであるデービッド・ニューナス議員は、「この種のメディア情報はみな民主党側からのリークに基づいている。それらの情報は真偽不明のまま拡散され、民主党側の政治攻撃を支援する結果となっている」と批判する。

 民主党側では、下院情報委員会のアダム・シフ委員長がトランプ大統領弾劾への動きの中心に立っている。だがシフ議員は前回の「ロシア疑惑」でトランプ陣営とロシア政府の癒着を断言したものの、モラー特別検察官の捜査によってその種の癒着は存在しなかったことが証明されてしまった。そのためか、今回は表面に出て派手に動くことはせず、「秘密調査」や「非公開聴聞会」に没入する形となっている。

 こういう現状についてワシントン・エグザミナー紙の政治コラムニスト、バイロン・ヨーク記者は「弾劾の秘密を終わらせよう」と題するコラムで、「現在のワシントンでの弾劾騒ぎは、米国の有権者にとってストーリーの異なる2本の映画を連日連夜、みせられているようだ」と論評した。

トランプ辞任はあり得るのか?

 それでは、トランプ大統領が弾劾される可能性はどれくらいあるのだろうか。

 米国憲法は弾劾措置について「下院が訴追の措置をとり、上院が判決を下す措置をとる」ことを規定している。その上院での大統領解任につながる弾劾の有罪採決には100人の議員の3分の2にあたる67人の賛成票を必要とする。だが現在、上院では共和党が53人もの多数派を占める。そのうちの20人もが民主党動議への賛成に回ることは現状では考えられない。