ソウル地裁から5年の実刑判決を受けたサムスン電子の李在鎔副会長(2017年8月25日、YONHAP NEWS/アフロ)

「まさか、あそこまで李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長側に厳しい判断になるとは・・・」

 韓国の産業界には衝撃が走った。2019年8月29日、韓国大法院(最高裁に相当)は、執行猶予付きだったソウル高裁の李在鎔氏に対する判決を破棄、差し戻したからだ。

 差し戻し審の行方次第ではサムスングループのオーナー経営に重大な影響を与える可能性も出てきた。

 この日の判決は、朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領と、旧知の「盟友」である崔順実(チェ・スンシル=1956年生)氏に対するサムスングループの事実上のオーナー経営者である李在鎔氏からの贈収賄罪などに関してだった。

最大の焦点は李在鎔氏に対する判断

 ソウル高裁は、2018年2月、李在鎔氏に対して懲役2年6月、執行猶予5年、同月8月には、朴槿惠氏に対して懲役25年、罰金200億ウォンをそれぞれ宣告していた。

 2審までは別々に裁判が進んでいたが、大法院ではこれをまとめて審理した。というのも、贈収賄なのに、朴槿恵氏、崔順実氏が受け取った額と、李在鎔氏が渡した額が、それぞれ異なり、判決にも大きな差があったからだ。

 今回の判決で最大の焦点は、李在鎔氏に対する大法院の判断だった。

 朴槿恵氏に対しては、他の裁判でも有罪になっており、すでに量刑が30年を超えている。今回の大法院の判断がどうなろうが、「大勢」には影響がなかった。

 大法院は、李在鎔氏と朴槿恵氏に対する2審判決を破棄し、ソウル高裁に差し戻した。