ヌタウナギからサメへ、太古の海が育んだ魚類の進化

生物進化を食べる(第5話)魚類篇

2019.08.30(Fri)大平 万里
コノドントのイラスト。 (出所:Philippe Janvier, 1997)

 その名は「コノドント」。長らく何の生物の化石か謎だったが、どうやら顎のない原始的な魚類の化石であるらしいと分かってきた。岐阜県高山市で見つかったコノドントの化石は、約4億5000万年前の古生代オルドビス紀のもので、国内最古の化石である。

 ともあれ、カンブリア紀の大爆発の少し後に、すでにクロヌタウナギのような生物がいたというのは驚きである。なんせ、そこから私たち脊椎動物は進化してきたのである。ヤツメウナギやクロヌタウナギを食べる機会があれば、ほぼ太古の姿そのままの「脊椎動物のご先祖様」であることに想いを馳せて味わいたいところだ。

サメの「しぶとさ」は生物進化でも特異

 さて、少し進化の針を進めよう。次に原始的な魚の名残をとどめているのはサメである。「サメなんて食べたことない」という方もいるかもしれないが、かまぼこやフカヒレ、さらにはコンドロイチン硫酸などの健康食品の材料として口にしているかもしれない。東北の魚市場に行けば、たいていサメの肉は売っている。

「顎」を意味する『JAWS』という映画もあるくらい、サメは立派な顎を持っている。そんなサメの何が原始的かといえば、クロヌタウナギ同様「硬い骨」がない点である。サメは「軟骨魚類」とよばれる仲間だ。フカヒレも軟骨であるが故に、あの食感が珍重されているのである。

 また、「浮き袋」がない。浮き袋は多くの魚類にとって、水中での浮力を調節する重要な器官であるが、サメにはないのだ。では、サメはどうやって浮力を調節しているかというと、肝臓などに脂質を蓄積して体の密度を低くすることで対処している。そのため、サメなどの肝臓からは、化粧品に使われるスクアレンなどの油脂成分が抽出される。

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