たしかに、私は北京に一週間いて、以前のように韓国の存在を感じることは、皆無と言ってよかった。

THAAD配備を止めても韓国経済は浮上しない

 例えば、私が北京で暮らしていた2012年までは、サムスンの携帯電話を持っているというのが、北京っ子のステイタスだったものだ。それがいまや、中国の友人知人のほとんどが、ファーウェイのスマホを手にしている。しかもファーウェイ・ウォッチとペアで使うのが流行の最先端だ。中国のスマホ市場においてサムスンの占有率は、すでに1%を切っている。かつて年間1億台もの携帯電話を製造していたサムスン天津工場も、ついに閉鎖してしまった。

 21世紀が始まった時、北京市は「新時代を韓国と共に歩む」として、市内の5万台のタクシーを、すべて現代自動車のエラントラに一新した。いわゆる「現代バブル」の時代だ。

 ところがいまや「網約車」(ワンユエチャ=スマホ呼び出しタクシー)が全盛の時代で、緑と黄のエラントラは、「ダサいタクシー」の象徴と化していて、誰も乗りたがらない。ちなみに現代自動車は今年上半期、中国市場での売り上げ台数で、前年同期比マイナス5・1%。第2四半期(4月~6月)に限れば、7・3%のマイナスを記録した。

 韓国と中国は、周知のように2016年以来、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)をアメリカ軍が韓国国内に配備した問題で、関係を悪化させた。だが中国から見れば、韓国企業が昨今、中国市場で不振をかこっている理由として、このTHAAD問題は、「雪上加霜」(雪の上に霜を加える=火に油を注ぐ)というものだ。

 根本的な理由は、あらゆる業界で中国企業のレベルが、完全に韓国企業のレベルに追いついてしまったことにある。もはや追い越した分野も多々ある。だからアメリカ軍がこの先、THAADを韓国から撤去しようが関係ない。酷な言い方をすれば、韓国企業は中国市場で、半永久的に不景気が続くに違いないのである。

 そのことを鑑みれば、文在寅政権が日本を敵視するのは、まさに自殺行為――北京の長安街から美しいLGツインタワーを眺めながら、そんなことを思った。