中韓首脳が初の電話会談、「北朝鮮の非核化は共通の目標」

韓国ソウルの青瓦台(大統領府)で、中国の習近平国家主席と電話会談を行う文在寅大統領(2017年5月11日撮影)。(c)AFP/YONHAP 〔AFPBB News

 こうした中国の報復措置に対し、韓国のハンギョレ新聞はその社説で、「THAADは米国が運営の当事者なので、韓国政府の決定だけでは解決が不可能だ。特に北朝鮮の度重なる挑発で韓国政府の動きの幅はますます狭くなっている。このような事情を知っている中国が、韓国企業に無差別報復をするのは行き過ぎた処置」と批判している。しかし、中国の報復措置が2年以上継続し、実際に韓国企業に甚大な被害が発生しているにもかかわらず、韓国政府が効果的な対抗策を打ち出したとか、一般国民の間から中国製品不買運動や大規模なデモが発生したといった話は聞こえてこない。

 日本に対しては全く違う。7月27日にはソウル市中心部の光化門広場で日本を糾弾する「ろうそく集会」が開かれた。主催者発表で5000人が参加したという。集会では「安倍を糾弾する」などのスローガンが叫ばれたという。朴槿恵前大統領弾劾を求めるデモと同様、今回も民衆労総や全教組系の極左組織が音頭を取っているものと思われ、今後土曜ごとの集会が一層大規模化する可能性がある。

「日本製品不買運動」に対する参加意思表明者も40%台から1週ごとに跳ね上がっている。これに賛同する人々も、実はそれぞれの家庭では多くが日本製品愛用者なのだが、世論の大勢に逆らえないのが韓国人の特徴である。日本に対し悪感情を抱いていない人々も、反日ムードを抑える働きができない。それが韓国の「不買運動」の実態でもある。

韓国が報復、日本を「ホワイト国」から除外へ

韓国ソウルの日本大使館近くで行われた抗議デモ(2019年7月20日撮影、資料写真)。(c)Jung Yeon-je / AFP〔AFPBB News

「高句麗は中国の地方政権」と主張する中国

 中国は、東北部(旧満州)の歴史研究を目的とする国家プロジェクト「東北工程」を立ち上げ、1997年から研究を開始した。その中で高句麗と渤海を中国の地方政権としたことに対し、韓国国内で激しい抗議が起こり、2006年には韓中間の外交問題に発展した。

 当時、東北工程の主唱者は、「中国の土地で展開された高句麗は中国の歴史」「三国統一ではなく、新羅による百済統合に過ぎない」「高句麗の領土の3分の2が現在の中国の領土であり、当時の高句麗住民の4分の3が中国に帰化した」などと主張した。

 これに対し、韓国「東亜日報」はその社説で、「韓国古代史を丸ごと変えようとする中国の執拗さがうかがえる。中国の『歴史侵奪』は、韓国の歴史的ルーツとアイデンティティを否定するものであり、中華の辺境に格下げし、状況によっては再び属国化しようという意図が読み取れる」と強い懸念を示すなど、反中ムードが高まるかに見えた。

 これを押さえにかかったのが、当時の盧武鉉政権である。中国との間で「学術討論で解決していき、政治問題としない」との政府間合意を結び、ひとまず沈静化させたのだ。