これまで述べてきたように、韓国では日本との歴史問題について今も多くのわだかまりを持って見ている。中国との歴史問題への扱いを見ると一目瞭然である。日韓関係を改善させるためには、このような韓国の歴史に関するわだかまりを和らげることが不可欠である。
韓国が中国に対しては歴史問題を持ち出さない理由は、おそらくかつて中国が宗主国だったという経緯があるので、「中国に対しては強いことが言えない」という意識があるのだろう。事大主義である。
反面、日本は歴史的に韓国から文化を学んできた「弟子」であり、その「弟子」が「兄貴分」である韓国に対して行ってきた歴史的な数々の行為は許されない、という感情が働くのかもしれない。そうした優越感と、その裏側にある劣等感を取り除き、歴史を客観的に見ることが日韓関係を立て直す基本になるだろう。
客観的視点なくして歴史問題での接近はない
戦後の日韓関係において、日韓の歴史問題が起きるたびに、両国は歴史共同研究を発足させ、政治的解決を図ってきた。しかし、それに出てきた韓国の研究者は国民感情を背に強硬姿勢を貫いてきた。日本の研究者が、「事実はこうなのだから、良く確かめてほしい」と発言したところ、韓国側の出席者は「あなたは韓国を愛していないのか」と答えたそうである。
これでは歴史共同研究をいくらやっても成果はないだろう。ドイツとフランス、ポーランドの歴史研究に成果があったのは、国民感情を排して事実を突き詰めていこうという合意があったからである。
韓国の歴史研究は、「韓国の論理に歴史的事実を如何に当てはめるか」との見地で行われている。事実を事実として受け止めることをそろそろ始めて欲しいものである。
そして歴史を客観的に理解する。日本も戦後韓国を多大に支援してきた。それを理解することで歴史に対するわだかまりを捨てることができるであろう。そうなれば、韓国の中国を見る目、日本を見る目が平等となるのではないか。