事案の裏側には、韓国駆逐艦が、北朝鮮の「瀬取り」を見逃すなど、何らかの不都合な行動を隠蔽しようとしたのではないかとの疑念も囁かれている。

 このように、韓国は、「武力攻撃を撃退し、かつ、この地域における国際の平和と安全を回復する」ことを目的として創設された、国連軍の枠組みで行われている北朝鮮の「瀬取り」に対する警戒監視活動に参加していない模様だ。

 また、反日政策を強化して北東アジアにおける日米韓の3か国安全保障・防衛協力の一角を意図的に壊すなど、自由民主主義陣営の一員とは思えない、列外的行動が目立っている。

 南北協力を早急に進めたい韓国の文在寅大統領が、このまま北朝鮮に対する行き過ぎた宥和政策を続けるならば、韓国は日米のみならず、「瀬取り」対策に協力的な国連軍参加国からも見放され、置き去りにされ兼ねない状況に追い込まれるだろう。

対中戦略の伏線としての「瀬取り」監視
体制の強化に努めよ!

 米中間は、自由民主主義国家と社会主義を標榜する強権支配国家との、価値観の相違に基づく体制上の対立の様相をいよいよ深めつつある。

 そして、東西冷戦下で顕わになった東アジアにおける地政学的構造は、核ミサイル時代の今日にあっても基本的に変わっていない。

 米中対立が激化するなかで、朝鮮半島問題や台湾問題といった冷戦時代の課題が、再び安全保障上の重大懸案事項となって先鋭化しており、当該地域における関係国の動きは、冷戦時代を彷彿として甦らせているようである。

 北朝鮮は、中国を後ろ盾として核ミサイルの開発・増強に集中的に取り組んで南北統一を窺い、そして、毛沢東主義に走っている中国の習近平国家主席は、「中華民族の偉大な復興」を旗印とし、海洋侵出の先に世界覇権を目指す構えを隠していない。

 このようななか、前述の横田基地にある国連後方司令部のウィリアムス司令官は、時事ドットコムニュース(2019年7月7日付)のインタビュー記事で、「「瀬取り」監視のオペレーションは(インド)米太平洋軍の下で実施されている」(括弧は筆者)と答えた。

 注目すべき発言である。