なぜならば、「瀬取り」監視のオペレーションに参加する国連軍を動かしているのは、国連軍司令官(兼在韓米軍司令官)のエイブラムス陸軍大将ではなく、彼を飛び越して、その上司であるデービッドソン・インド太平洋軍司令官(海軍大将)であるからだ。

 インド太平洋軍は、概ねインド洋から太平洋に跨る広大な地域を管轄しており、同司令官は、朝鮮半島情勢に対応しながら、新冷戦の相手であり、最大の「ライバル強国」である中国を睨んで、その体制を整えているのは間違いない。

 その体制には、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の4本柱である日米印豪のほかに、「瀬取り」監視のオペレーションに参加している英国、カナダ、フランス、ニュージーランドなどの国連軍参加国が加わることになりそうだ。

 つまり、これら国連軍参加国を含めた北朝鮮の「瀬取り」監視体制は、対中戦略の伏線であると見做すことができる。

 日本は、現行の「瀬取り」監視体制がわが国の安全保障・防衛の強化につながるとの確信のもと、米国とともにこれら関係国との協議、政策面および運用面の調整、そして共同演習・訓練などを通じて関係強化に一層努めることが肝要である。