「貿易戦争」、今後3か月は両国にとって重要な時期

「貿易戦争」、今後3か月は両国にとって重要な時期〔AFPBB News

ペンス演説の本気度を疑った中国

 マイク・ペンス米副大統領が2018年10月に行った中国との対決を宣言した演説(「対中対決宣言」)は、ドナルド・トランプ政権の公式見解であるにもかかわらず、中国は同演説の本気度を疑ったようである。

 ボブ・デヴィスとリングリン・ウェイが共同執筆した『米中の打算と誤算、貿易戦争の瀬戸際へ 』と題するウォールストリート・ジャーナル日本版の記事(2018年11月30日)は、米中貿易戦争に至った経緯を克明にフォローしている。

 その中で中国は、ペンス副大統領の対中対決宣言を、「中国の台頭を抑えようとする米国の包括的な戦略を示すものなのか、中国への圧力を強めるための交渉戦術なのかを議論した」と書いている。

 東西冷戦がそうであったように、冷戦がいつ始まったかは、後になってから分かるものだ。それが歴史である。

 英国のウィンストン・チャーチル首相が、米国ミズーリ州フルトンで「バルト海のステッテンからアドリア海のトリエステまで、ヨーロッパ大陸に鉄のカーテンが降ろされた」と演説したのは、1946年3月であった。

 しかし、世界の人々が東西冷戦の幕開けを実感したのは、チャーチルの指摘から遅れること約3年後、1949年のドイツの分離独立からであった。

 もうすでに、米国と中国との間には、はっきり見えないが、新たな冷戦の始まりが告げられているのかもしれない。

 ペンス副大統領は、11月13日に3度目となるアジア歴訪の最初の訪問国である日本に立ち寄り、安倍晋三総理、麻生太郎副総理兼財務相、日本政府高官らと首相官邸で会談した。

 11月27日のロイター(東京)の報道によると、麻生財務相は11月27日の閣議後の会見で、「ペンス副大統領は来日して同演説の内容について説明した」ことを明らかにした。

 その説明を踏まえての発言と見られるが、麻生財務相は、ペンス演説に見られる対中強硬論は「米国の中国に対する態度をトランプ大統領の思いつきと捉える人がいるが、違う」と言い切った。

 そして、「トランプ大統領だけでなく、米国の東部エスタブリッシュメントの意見と捉える必要がある」と指摘した。

 また、ペンス副大統領による対中対決宣言を重視する必要があると強調し、米中対立は安易に解消せず、長期化が必至との見解を示して警鐘を鳴らした。