欧州議会選、投票開始 躍進狙う右派ポピュリズム政党

欧州議会内の反EU会派「国家と自由の欧州(ENF)」の会議のためチェコのプラハに集結したオランダの極右・自由党のヘルト・ウィルダース氏(左から2人目)やフランスの極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏(左から3人目)ら(2019年4月25日撮影)。(c)Michal CIZEK / AFP 〔AFPBB News

(舛添 要一:国際政治学者)

 5月23〜26日にEUの欧州議会選挙が行われた。中道右派・中道左派はこれまで占めていた過半数を維持できず、極右政党が躍進した。また、緑の党やリベラル政党も伸びている。EU懐疑派が議席の3割を占めることになったが、親EU派のほうがまだ数が多い。

 結果を詳細に見て見よう。

中道会派の議席が大幅減

 欧州議会は定数751である。まずはこれまで議会の過半数を占めてきた親EU派の動向から紹介しよう。

 ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)などが参加する最大会派の「欧州人民党(EPP、中道右派)」は217議席から179議席に減らしたが、第一会派を維持した。2番手はイギリスの労働党やドイツの社会民主党(SPD)などから構成される「社会民主進歩同盟(S&D、中道左派)」で、こちらも186議席から153議席に減退した。そのため、これまでのように、両中道会派で合計して過半数を占めることができなくなった。

 だが親EU陣営では、この二大会派に加えて、フランスのマクロン大統領の与党「共和国前進(REM)」やオランダの自由民主党などが参加するリベラルな「欧州自由民主同盟(ALDE)」が、68議席から105議席へと躍進。さらに、「緑の党・欧州自由連合(Greenns/EFA)」も52議席から69議席へと勢力を拡大している。

 以上の4会派を合計すれば、496議席で過半数を超えるし、議席数も大きくは減らしていないことになる。