(舛添 要一:国際政治学者)
5月23〜26日にEUの欧州議会選挙が行われた。中道右派・中道左派はこれまで占めていた過半数を維持できず、極右政党が躍進した。また、緑の党やリベラル政党も伸びている。EU懐疑派が議席の3割を占めることになったが、親EU派のほうがまだ数が多い。
結果を詳細に見て見よう。
中道会派の議席が大幅減
欧州議会は定数751である。まずはこれまで議会の過半数を占めてきた親EU派の動向から紹介しよう。
ドイツのキリスト教民主同盟(CDU)などが参加する最大会派の「欧州人民党(EPP、中道右派)」は217議席から179議席に減らしたが、第一会派を維持した。2番手はイギリスの労働党やドイツの社会民主党(SPD)などから構成される「社会民主進歩同盟(S&D、中道左派)」で、こちらも186議席から153議席に減退した。そのため、これまでのように、両中道会派で合計して過半数を占めることができなくなった。
だが親EU陣営では、この二大会派に加えて、フランスのマクロン大統領の与党「共和国前進(REM)」やオランダの自由民主党などが参加するリベラルな「欧州自由民主同盟(ALDE)」が、68議席から105議席へと躍進。さらに、「緑の党・欧州自由連合(Greenns/EFA)」も52議席から69議席へと勢力を拡大している。
以上の4会派を合計すれば、496議席で過半数を超えるし、議席数も大きくは減らしていないことになる。