(舛添要一:国際政治学者)
3月27日、一般会計総額101兆4571億円と初の100兆円を超える新年度予算が成立した。そこでは10月に予定されている消費税増税の対策費として、2兆280億円が計上されている。
安倍政権下ではこれまで2度にわたり増税を延期しており、安倍首相も財務省も、今回こそは「三度目の正直」で10%への増税を実現したいところである。
しかしながら、内外の情勢がそれを許すかどうか不透明な状況になってきている。
景気後退の前兆「逆イールド」が世界各国で
3月25日、月曜日の東京株式市場で、日経平均株価は一時、715円を超える大幅な下落となった。終値は650円23銭安の2万0997円11銭だった。2万1000円割れは約1カ月半ぶりのことである。世界経済減速への懸念から、22日金曜日のニューヨーク株式市場で大幅安になったことを受けての週明けの動きであった。
FRB(連邦準備制度理事会)は、3月20日にFOMC(連邦公開市場委員会)を開き、主要政策金利を年2.25〜2.5%に据え置き、年内は利上げをしない方針を決めた。個人消費や設備投資が減速していることから、景気の現状判断を「底堅く拡大」から「成長が鈍化」に引き下げたからである。
この政策転換で、ドル売り・円買いが進み、25日の東京外国為替市場で円相場は一時1ドル=109円台後半に値上がりした。これは輸出企業にとって厳しい。東証では、この円高ドル安リスクもあって、特に輸出関連銘柄で売り注文が広がった。