(右田早希:ジャーナリスト)
3月22日、朝鮮労働党中央委員会機関紙『労働新聞』に、「朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会決定 第228号 主体108(2019)年3月21日」と題した告知が掲載された。内容は、以下の短いものだ。
<朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議を召集することについて
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は、次のような決定をした。朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期第1次会議を、主体108(2019)年4月11日、平壌で招集する。
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会 平壌>
何とも重々しい言い回しだが、要はたった1日だけの「国会」を、4月11日に行うということだ。
そんな中、いま平壌で「不穏な噂」が囁かれている――。
プッツリ途絶えた金正恩氏委員長の消息
最高人民会議に先立つ1カ月前の3月11日、『労働新聞』は、「わが党と国家、軍隊の最高領導者・金正恩同志におかれましては、最高人民会議代議員選挙に参加されました」と題する記事を掲載した。
<朝鮮労働党委員長でおられ、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長でおられ、朝鮮人民軍最高司令官でおられる、わが党と国家、軍隊の最高領導者・金正恩同志におかれましては、3月10日、最高人民会議第14期代議員選挙のため、第10号区第40号分区選挙場で、選挙に参加された。
午前11時、わが党と国家、軍隊の最高領導者、金正恩同志におかれましては、金策工業総合大学に設置された選挙場に到着された。敬愛する最高領導者同志におかれましては、金策工業総合大学総長の洪ソホン同志、党委員長の李ソンウク同志と面会された。慶祝の踊りの海となって満ち満ちている大学構内に爆風のような「万歳!」の歓声が、朗々と湧き上がった……>
つまりは、金正恩委員長が、最高人民会議の選挙の投票所に足を運んだというニュースだ。この選挙によって、687人の代議員(国会議員)が選出された。ちなみに、各選挙区の「推薦者」(立候補者)は一人で、推薦された全員が当選したことになる。投票率は99・99%! それでも100%にならなかったのは、海に出ていた漁師や、海外出張者などがいたからだとか。