米アマゾン・ドットコムは、ニューヨークに「第2本社」を設置する計画を立てていたが、先ごろ、この計画の撤回を発表した。
ニューヨーク市クイーンズ区のロングアイランドシティーに第2本社を設置することに伴い、同社に対し、州と市が最大30億ドル(約3300億円)の優遇措置を与えることになっていた。しかし、これに住民や地元の政治家が異を唱え、彼らから猛反発を受けたからだ。
首都ワシントンの計画は継続、17都市でも雇用拡大
ただ、ニューヨークの新社屋は諦めるものの、今後も引き続き同地域で雇用を拡大していく意向だ。これについて、米ウォールストリート・ジャーナルは2月18日付の記事で、「アマゾンは今回の計画撤回で多少の打撃を受けるものの、新規雇用が停滞したり、止まったりすることはないだろう」と報じている。
アマゾンの昨年(2018年)末時点における全世界の従業員数は、64万7500人(発表資料)。その数は、過去5年間で5倍に増えており、米テクノロジー企業の中で最も多い(ドイツ・スタティスタのインフォグラフィックス)。
アマゾンのような巨大企業にとって、今回の計画頓挫は、それほど重大なことではないという。アマゾンは今回出した声明で、現段階ではニューヨークに代わる候補地を新たに探す意向はないとし、その代わり、もう1つの第2本社建設地である首都ワシントン近郊の計画は、引き続き進めると述べた。また、それ以外の計画も予定どおり進めるほか、米国とカナダの計17都市にあるオフィスやテクノロジー拠点で、雇用を増やすという。
頓挫したのは一連の大規模計画の1つ
同社は昨年11月、ワシントン州シアトルの本社に次ぐ新たな拠点として、第2本社をニューヨーク市と首都ワシントン近郊に置くと発表した。ニューヨークの拠点は前述したとおり、クイーンズ区のロングアイランドシティー。首都ワシントン近郊の拠点は、バージニア州アーリントンのクリスタルシティーとペンタゴンシティー、そしてポトマックヤードを含む地域だ。