アマゾン、第2本社の分割建設を発表 NYとワシントン郊外に

米ニューヨーク市でのアマゾン・ドットコム第2本社建設決定を発表した記者会見で、アマゾンの不動産部門の副代表(左)と握手する同市のビル・デブラシオ市長(右)とニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(中央、2018年11月13日撮影)。(c)Drew Angerer/Getty Images/AFP〔AFPBB News

 事前の報道のとおり、アマゾン・ドットコムは、米シアトルの本社に次ぐ、新たな拠点「第2本社(HQ2)」を、ニューヨーク市と首都ワシントン近郊に置くと発表した

第2本社の2都市が決定

 ニューヨークの拠点は、クイーンズ区のロングアイランドシティーに置く。首都ワシントン近郊の拠点は、バージニア州アーリントンのクリスタルシティーとペンタゴンシティー、そしてポトマックヤードを含む地域に置く。この地域は、今回の第2本社設置を機に、名称を「ナショナル・ランディング」に変更する。アーリントン郡は同日声明を出し、その理由について、近隣に「ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港」があるからだと、説明した。

 アマゾンは、来年(2019年)以降、2つの第2本社で、それぞれ約2万5000人を雇用し、合計50億ドル(約5700億円)を投資する。また併せて、テネシー州ナッシュビルのダウンタウンに物流施設を新設することも明らかにした。こちらは「センター・オブ・エクセレンス」と呼ぶ拠点で、フルフィルメント、輸送、サプライチェーンなど業務を行う。ここでは5000人を雇う計画で、来年から雇用を開始する。

 アマゾンはこれらの新拠点で、投資や雇用創出などを条件に合計22億ドル(約2500億円)規模の税制優遇を受ける見込みだ。内訳は、ニューヨークが15億2500万ドル、バージニアが5億7300万ドル、ナッシュビルが1億200万ドルだ。

激化する人材獲得競争

 アマゾンが、シアトル本社以外に複数の大規模拠点を構えるのには2つの理由があると言われている。人材獲得と、都市への影響軽減だ。

 同社の創業は1994年。その翌年から書籍のネット販売でサービスを開始し、1997年に上場した。それから20年余りがたった今のアマゾンは、eコマースとクラウドコンピューティングの巨人であり、AI(人工知能)スピーカーをはじめとするエレクロトニクス製品の大手でもある。また、自前の物流ネットワークを構築し、日々膨大な数の荷物を扱う物流企業という顔も持つ。映画の制作・配信、音楽、電子書籍といったデジタル・コンテンツの事業分野でも影響力を持っている。