(加谷 珪一:経済評論家)
筆者は2018年の年始に、今回と同様の経済展望コラム(「2019年以降に備えるための年――2018年の経済展望」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51988)を執筆したが、2018年は比較的平穏な年になると予想した。概ね予想通りの展開となったが、2019年については順風満帆とはいかなさそうである。
これまで世界経済を牽引してきた米国経済に、そろそろ頭打ちの懸念が出始めている。2018年を通じて日本経済が比較的、安定的に推移したのは好調な米国経済を背景に製造業の業績が好調だったからである。もし米中貿易戦争が長引き、米国経済がスローダウンした場合、日本経済は大きな打撃を受ける可能性が高い。
一方、日本国内に目を転じれば2019年には消費に影響を与える2つの大きなイベントが控えている。1つは働き方改革関連法の施行、もう1つは消費増税である。
デフレ傾向に支えられた2018年の日本経済
2019年について予想をする前に、日本経済の現状について整理してみよう。2018年の実質GDP(国内総生産)成長率は、行ったり来たりという状況だった。1~3月期はマイナス0.3%、4~6月期はプラス0.7%、7~9月期はマイナス0.6%となっている。10月以降については、鉱工業生産などを見ると多少、持ち直しているものの、通年でもそれほどよい結果にはならないだろう。
またプラス成長だった期についても、デフレ傾向に支えられたという面が大きく、名目値を実質値が上回っている。消費者が財布の紐をきつく締めており、消費が伸び悩んでいることから、物価には依然として下押し圧力がかかっている。