米海軍原潜が必ず通過するファンデフカ海峡

 そして第2の理由は、中国製高性能センサーが設置された海域が、アメリカ海軍にとっては「驚くべき海域」だからである。

 ONCネプチューンのエンデバー海域は、ブリティッシュ・コロンビア州西岸のバンクーバー島南岸と、アメリカのワシントン州西部のオリンポス半島北部を隔てているファンデフカ海峡の太平洋口沖合の海域である(下の地図)。

ファンデフカ海峡の位置(Googleマップ)
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ファンデフカ海峡の拡大地図。海峡を抜けた米海軍原潜は必ずエンデバー海域を通らなければならない

 カナダとアメリカの国境をなすファンデフカ海峡の大陸側内海の北側は、カナダ西部最大の都市であるバンクーバーに至るジョージア海峡が広がっており、南側にはアメリカ北西部最大の都市であるシアトルに至るピュージェットサウンドという複雑に入り組んだ海域になっている。そのピュージェットサウンドには、アメリカ海軍の重要拠点であるエバレット海軍基地(原子力空母の母港)、ブレマートン海軍施設(原子力空母や原子力潜水艦のメンテナンスや修理能力を有する)、そしてバンゴール潜水艦基地(戦略原潜、攻撃原潜の母港)が点在している。