2018年11月に実施された台湾の統一地方選挙では、蔡英文総統率いる与党・民主進歩党が国民党に敗北した。選挙大敗の責任を取って民主進歩党党首を辞任した蔡英文総統は、2020年の総統選に向けての党勢立て直しに取り組むこととなった。
このように政治的には中国寄り勢力の反攻が、少なくとも今回の統一地方選挙においては進展していると言ってよい。
だが、台湾軍による中国に対する軍事的抵抗姿勢の努力は緩められてはいない。というよりは、トランプ政権による反中国・親台湾政策の推進により、台湾軍の対中国戦力の強化は進展しつつある。
その一例が、かねてより台湾軍が配備している雄風IIE巡航ミサイルの改良作業である。
中国本土を攻撃する雄風IIE巡航ミサイル
雄風IIE巡航ミサイルは対地攻撃用の長距離巡航ミサイルである。「イスラエル製対艦ミサイルを改造して生み出された雄風I対艦ミサイルの改良型である『雄風II対艦ミサイル』の派生型である」としばしば誤って伝えられているが、実際には雄風II対艦ミサイルとは別物であり、台湾の政府機関である国家中山科学研究院によって独自に開発されたものである。