米国のドナルド・トランプ大統領は今年に入り、中国封じ込めを狙いとするとみられる政策を次々に打ち出した。
同大統領は、年初から対中貿易戦争を発動し、10月20日にはINF(中距離核戦力)全廃条約離脱を表明している。
今年10月4日のマイク・ペンス副大統領によるハドソン研究所での演説では、対中対決姿勢が鮮明に打ち出された。
米中対決の余波は、日豪印も巻き込み、南太平洋、インド洋、東シナ海にも及んでいる。
激しさを増す南シナ海での米中の鍔迫り合い
特に、南シナ海での米中の鍔迫り合いは激しさを増している。
ペンス演説でも、今年9月30日中国海軍艦艇が南シナ海で航行の自由作戦を実施中の米軍艦艇「ディケーター」に「45ヤードまで接近した」ことを引用して次のように断言した。
「(中国側の)そのような仮借ない妨害があっても、米海軍は、国際法が許し米国の国益上必要とされるところではどこでも、飛行し、航行し、行動し続ける。我々は脅しにおじけづくことはないし、退くこともない」
これに対し中国側は早速、米側に同作戦の中止を要求している。
今年11月2日のワシントンで開催された米中閣僚級外交・安全保障対話の共同記者会見において、楊潔篪(ヨウケツチ)中国共産党政治局員は、「『航行の自由』の名の下、(米国が)軍事行動を取ることは許されない」と述べた。
中国にとり、南シナ海とインド洋の戦略的価値は極めて重要である。
中国は、南シナ海を「核心的利益」と表明している。南シナ海は、中国の貿易ルート、原油輸入ルートが集中する、地政学的には米国にとってのカリブ海のような地位にある。