華為技術(ファーウェイ)の問題は、米中貿易戦争の一環である。
同時に中国の覇権確立の道しるべとなる「中国製造2025」の技術がサイバー攻撃で日本を含めた先進国(特に米国)から窃盗したのではないかという疑いから、米国がカナダの協力を得て警告を発したということであろう。
身柄を一時拘束され、現在は監視付き釈放の身である孟晩舟容疑者は、米加中の諸々の取引に大いに活用されることであろう。
2015年以降、日本人10人がスパイ活動などに関与したとして拘束され、うち2人は解放されたが、8人が起訴され、すでに4人に対し、5年から12年の実刑判決が下された。
ほとんどの国ではスパイ防止法などがあり、外国で拘束され刑に服している自国の人間を救出する一助として活用している。
すなわち、スパイ防止法は機密情報の保護という一面だけでなく、人権擁護の面にも役に立つということである。
日本にはスパイ防止法がないので、スパイ行為を取り締まれない「スパイ天国」とされている。国益を毀損する情報などが盗まれている点で不名誉この上ない。
自民党議員が昭和60(1985)年に議員立法で提出したが、野党の反対で廃案になった経緯がある。
当時、野党は「基本的人権や自由が侵される」として反対したが、拉致事案などは法の不備がもたらした人権被害と言えなくもない。
また、外国スパイは従来のプロを介する方法も存在し続けるが、留学生・旅行者など広く一般人を使った方法やサイバー攻撃などの高度技術を駆使するなど、形を変えて脅威の度合いを高めている。
第一には「国益の擁護」上からスパイ防止法が不可欠と思うが、ここでは拉致被害者や被拘束日本人の救出という人道・人権の側面から取り上げてみる。