12月8日未明、問責決議案の乱発の末に改正出入国管理法が成立した。
77年前の同日(昭和16年12月8日)の同じ時間ごろ日本軍が真珠湾攻撃を行ない、西太平洋からインド洋を含む広範囲を戦場とする大東亜戦争に突入していった。
開戦の近因は米国による日本の自立を毀損する石油や鉄屑などの禁輸政策で、窮鼠猫を噛む状況に仕向けられた結果であったが、日米関係悪化の遠因は1924年に制定された排日移民法などであった。
今回成立した法律は、少子高齢化で労働力不足となっている業種分野で外国人労働者を受け入れるというもので、77年前と今回の12月8日未明の法案は移民などに関わる点で類似している。
改正法は「ほぼ単一民族」をアイデンティティの拠り所にしてきた日本にとっては、多民族共存国家への第一歩には違いなく、それは戦争以上の影響を及ぼすエポック・メイキングなものである。
そのためにも、該法案は審議に審議を重ねる必要があったが、野党は本筋の法案審議とかけ離れたところに焦点をずらすなどして審議を疎かにしてしまった。
外国人労働者の受け入れ
改正出入国管理法では日本のアイデンティティを守る上で大切な歯止めがかからないという大きな問題が残されている。
野党は「審議が尽くされていない」「採決を急ぐ姿勢は到底容認できない」などと抗議し続けた。
こうした抗議の時間を審議にあてればよいだけのことであったが、政局に仕立てたい魂胆から、ただでさえ少ない審議時間を無駄にする動きに終始したように思えてならない。
特別永住外国人以外は基本的には日本以外の環境で育ち、異なった能力を持った者である。そうした外国人が短期間に押し寄せると、従来の慣行を乱し秩序維持に困難をきたす結果、問題が発生する。