また、そうなった時の最大の問題は、現在世界的にせっせと行われている、本質的な環境負荷を減らすバイオプラスチックの製造方法の開発に対して「100%バイオプラスチックはもうあるのに、何で今頃研究しているの?」の一言で投資がバッサリ切られてしまうということです。

 読者の中には「いくら何でもそんなことはないだろう」「形だけのバイオプラスチックを導入しながら、本物のバイオプラスチックの開発を続ければよいのでは?」と思う人も多いでしょう。しかし、そんな皆さんは「一見、環境や社会や科学に対して良いことをしているように見せることを生業にしているベンチャーキャピタルたちの存在」と彼らの「あたかも良いことしているぜアピールのプレゼン能力」を少々軽くみているように感じます。

 私の日々の仕事の中でも、実際に「もう◯◯は実用化されているのに、どうして君はまだ研究開発投資が必要だと言うの?」の言葉は、バイオプラスチックだけでなく、さまざまなバイオ分野の研究開発で、今までもたくさんたくさん浴びせられてきました。

 もちろん、私も「彼らがやっているプロジェクトは本質的には環境負荷がむしろ大きく・・・」と説明しようとするのですが、「お前の話は難しい」「他のプロジェクトを悪く言うな」と、こちらの説明を最後まで聞いてもらえることもなく切り捨てられてしまうのが現実なのです。

 こうした、導入が進めば進むほど環境には良くない製品であっても、環境が良くなると信じて買う人が増えれば増えるほど、儲かって絶妙に真実を隠した宣伝ができるのが現実です。そんな事情を知らない一般の多くの人は「たくさん宣伝しているくらいだし、きっと環境に一番良い商品だから売れているのだろう」と受け止めとめるのが、社会というものなのです。

 こんな悪循環がはびこる理由がどこにあるのか、ベンチャー業界がより良い社会を作るための手法の1つとして成立するためには、何が必要で、何が不必要なのか。この問題を解決できるように、ベンチャー業界の片隅でこれからも訴えていきたいと思っています。