クレイトン氏の妻はゴールドマンの副社長。ホワイトハウスの最高戦略責任者だったステファン・バノン氏もゴールドマンの役員だった。
実はトランプ政権の中枢は、「ゴールドマン閥」で固められている。
今回の1MDB絡みの不祥事は、ゴールドマンの株価を2011年ぶりに下落させるなど、今後の経営にも悪影響を及ぼすことは避けられない。
マハティール首相は、制裁の上、法の下による処罰を求めており、トランプ大統領の政治判断に委ねられる事態にも発展しかねない。
マハティール首相にとっては、「20年前の悪夢」が蘇る。アジア通貨危機の根源は、米国のヘッジファンドによるサヤ抜き目的のカラ売りだと、批判。
投資家ソロス氏を名指しで、「ユダヤ人がイスラム国家を崩壊させようとしている。わが国に対する挑戦だ」とヘッジファンドに支配される米国金融界を非難した。
著名投資専門家のケイザー氏は、「ゴールドマンは、政府を支配する詐欺師だ」と糾弾する。
マハティール首相とトランプ大統領。今回のゴールドマンの一件は、イスラムとユダヤの対立をも新たに生みかねない、火種を抱えている。
(取材・文 末永 恵)