2008年の米国の公的資金による政府の金融危機対応は、金融崩壊の最悪の事態は防いだが、結果的にゴールドマンを「一強」状態にさせた負の側面も招いた。

 また、ゴールドマンと政府の「癒着」は、ポールソン元財務長官だけではない。

 米政権、連銀、世銀などの高官には、弛まない「ゴールドマン・コネクション」が渦巻いていて、ゴールドマンが金融を通じ、米国政冶、ひいては米国を支配していると言っても過言ではない。

 ビル・クリントン政権時代のロバート・ルービン財務長官は、ゴールドマンの共同会長だった。

 ブッシュ政権の経済顧問はゴールドマンの会長だったスティーブ・フリードマン氏で、ニューヨーク連銀会長も務めた。バラク・オバマ政権の財務省首席補佐官だったマーク・パターソン氏も、ゴールドマンの敏腕ロビイストだった。

 ましてや、トランプ大統領は、ビジネスマンだ。

 ウォール街の金融機関から巨額融資を受けており、ウォール街の100社以上に債務があるだけでなく、ゴールドマンの住宅金融専門会社はトランプ氏所有のマンハッタンのオフィスタワーの30%近くを担保に取っているとも言われている。

 ウォール街の帝王、ゴールドマンとは親密な関係にあるのは間違いない。

 トランプ大統領は、ゴールドマン幹部だったスティーブン・マヌーチン氏を財務長官に、ゴールドマン社長だったゲーリー・コーン氏を、国内外の経済政策決定機関の国家経済会議のトップに抜擢。

 さらに、ゴールドマンの外部弁護士のジェイ・クレイトン氏を証券取引委員会の委員長に指名した。