ダウンタウン松本人志さんが10月4日にTwitterに投稿した、「天才の成功話はほどほどに聞いといた方が良いよ。天才は振り返り方も天才だから。」が大きな話題を呼びました。いわゆる、「バズった」状態になったわけです。「さすが、まっちゃん!」と共感を覚えた人が多かったようです。

 ところで、肝心の「天才の振り返り方」とはどんなものなのでしょうか。実はこれ、選抜されたビジネスリーダーが共通して持っているポイントでもあるのです。私は5万人のリストラを行い、6000人を超えるリーダーを選抜してきましたが、リストラされる人と選抜される人、その一番の違いは「振り返り方」にありました。

 今回は、ビジネスを前に進めるPDCAの視点から、選ばれる人が実は共通でやっている「振り返り方」について解説します。

いきなり振り返ると内省ではなく「反省」して落ち込む

 仕事をしていてPDCAがうまく回らない一番の原因は、ついつい甘くなってしまいがちなC(Check)に原因があると考えるのが一般的なセオリーです。確かにCは重要ですが、ここに大きな罠が潜んでいます。

 Cはチェックリストをマークして済むような簡単な作業ではないからです。C(check)をする時は「振り返り(リフレクション)=内省」をすることがキーになります。大辞林によれば、内省とは「自分の考えや行動などを深くかえりみること」です。

 内省した気づきを通し、自分の打ち手や行動を変えることで仮説・検証のサイクルを回し、PDCAの精度を高めていく。これで万事うまくいく、と早合点してしまいがちですが、実はここに大きな落とし穴があるのです。

 日本人は内省しようとすると、ついつい「反省」してしまうのです。反省すると、「ああ、また同じミスをやってしまった。あれだけ注意したのに。なんて自分はダメなやつなんだろう」とただ深く落ち込んでいってしまいます。落ち込んだ気持ちを振り払うように、熱燗に癒されてぐっすり眠って、そして翌日、また同じ失敗を繰り返し、反省して……というような、PDCAではなく反省の悪循環になってしまうのです。

「また失敗するのでは・・・」、「ああ、やっぱりまた失敗してしまった。ダメな私・・・」。この繰り返しが続くと、モチベーションも自信も日々摩耗していきます。

「内省」はもともとは海外で普及したマネジメント用語です。洋画の世界では、口角泡を飛ばし、大声で互いに意見を主張し合うシーンをよく見かけます。あなたもイメージできるでしょう。そう、内省というものは、このように主張するだけで自分の行動を振り返ろうとしない海外の人に効果が高いアプローチなのです。

 ところが日本人には、もともと自分の行動を振り返る習慣があります。ゆえに、内省しようとすると、深く反省し、ただひたすら落ち込んでしまう傾向が強いのです。