安倍首相が訪中し習近平国家主席との首脳会談が開かれた直前、すなわち10月26日の午前中、習主席は中国人民解放軍南部戦区司令部(広東省広州市)を視察し、「戦争に備えよ!」との強い訓示をした。
習主席が対米強硬姿勢を表明
習近平国家主席が軍首脳部に対してこのような訓示をした背景には、南シナ海でのアメリカ海軍による「公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」の強化や、南シナ海や東シナ海でのアメリカ空軍による爆撃機の飛行の強化、それに10月22日にアメリカ海軍巡洋艦アンティータムと駆逐艦カーティス・ウィルバーが台湾海峡を北上した動きなどがある。
習主席は、“南シナ海などでの中国の主権を脅かす軍事情勢は複雑化しているが、それらの困難な状況に打ち勝つために、戦闘準備を整える演習、統合軍事演習、そして直面するであろう事態に即応した軍事演習などを強化し、戦力を充実させて戦争に備えなければならない”といった内容の対米強硬姿勢を固める指令を発した。
このような「対米戦闘能力を強化せよ」という中米対決姿勢の表明と、この日の午後からスタートした安倍首相との会談で“合意”された「東シナ海を平和、協力、友好の海へ」といった日中協調姿勢の表明は好対照である。