もう一つ、洞察する時に注意しなければならない点があります。
日本人はどうも改善思考が強すぎる傾向があります。ですからアメを考える時、「どうなりそうか」と洞察するのではなく、つい課題や原因を探ってしまうことが多いのです。これは危険なので止めておくのが賢明です。
仮に課題や原因の解釈が正しくても、「その結果どうなりそうか?」という未来予測が立てられないと、効果的な打ち手を見つけられなくなるからです。
原因を探すのではなく「どうなりそうか」を考えよ
日本人は【図2】のようにソラ「お客様が来ない」に対し、アメが「お客様にこのお店が知られていない」とか「料理がおいしくない」「コスパが悪い」といった原因探しをしてしまいがちです。この”いきなり原因探し”は、打ち手の検証が困難なので、危険です。
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「お客様にこのお店が知られていない」ので「チラシを配った」としましょう。その結果、誰も来なかった場合、「チラシを配った」という打ち手がダメだったのか、お客様に知られていないことがダメだったのか検証できません。
さらに恐ろしいのは、原因の数だけ打ち手も考えられることです。これではキリがありません。現実には予算・期間などの制限があるのですから。
どうすればこの現象を回避できるか。簡単です。「どうなりそうか?」という問いにまず答える習慣をつけることです。この問いに答えると、自然に頭の切り替えができるのです。
「どうなりそうか」という洞察結果を踏まえて、乗り越えなくてはいけない壁(課題)は何になるかを論点から導き出し、検討の方向を踏まえて乗り越える打ち手を考えるといいでしょう。現実的で効果的な打ち手が出るだけでなく、PDCAサイクルが回るので打ち手の精度がぐんぐん上がっていきます。
【図2】のように、「来月には潰れそうだ」と洞察されるなら、課題は手持ちキャッシュが足りないことです。信用金庫から追加融資を受ける打ち手を考え、成功すれば店が潰れることは回避できます。これでPDCAが回りはじめます。最初の打ち手が成功しました。では次は「どうなりそうか?」と洞察し、壁を把握し、新たな壁を乗り越えるための打ち手を打っていく。これを繰り返していけばお店の経営はよくなるでしょう。