パワハラも同じだ。今、特にスポーツの世界でパワハラ問題が噴き出している。学校の部活動もその一コマと言えるが、権力に無自覚な指導者がトラブルを引き起こしている、と問題提起したい。
その男は今日も教室にいる
この取材を始めたきっかけは、当時二十代だった横山智子さん(仮名)から「高校生の時、担任の教師に乱暴されたんです」という重い告白を受けたことだった。大学を卒業して働き始めたばかりだったが、つらい経験をした高校二年生の日から人生が大きく狂った。
三十代になっても両親には内緒にしていて「心配させたくないから、一生話さないと思います」と言う。
僕は提案した。「その教師を取材することもできます」。五十代になった男は別の県立高校で教師を続けていた。「その男は今日も教室にいる。今も同じことを繰り返しているかもしれない。次の被害を防ぐためにも、取材をするのは一つの手です」と伝えた。
智子さんはその後、二年も迷い続け、ついに決心した。「その教師と会います。近くで待っていてください。当時のことを話して、向こうが認めたら呼びます」。彼女はそう言った。
それから綿密に打ち合わせを重ね、一緒に現地に向かった。
どうなったか。それは本書をお読みください。