また、H&Mのようなファストファッションの台頭も廃棄処分が目立ってきている理由だといえる。商品のサイクルは早くなり、数多くの安価な新しい商品が次々と店頭に溢れることで、売れ残りが増えることになる。そうなれば、処分しなければならない商品が大量に出るのは当然だと言える。

 とはいえ、メーカー側のそんな言い分はもはや通用しない。特に近代のファッションメーカーは、環境や人権にも責任をもって行動することが求められる。さもないと直ちに糾弾され、反発や炎上、挙句にはすぐにSNSなどを使った不買運動などの憂き目にあうことになる。環境保護的な観点からは、エネルギーや資源を使って製品を作っているという「責任」があることを自覚しなければならない時代になっており、その流れは止まらないだろう。

AIで需要予測の精度を上げよ

 廃棄処分の問題をクリアする一つの方法は、生産過程をできる限り短くすることだろう。そうすれば、供給量を状況に応じて変えることが可能になり、過剰生産を食い止めることができるからだ。ただそれには設備投資や根本的な生産の見直しが必要になるために、簡単に実現することはないが、できる限り早くその方向に舵を切るのが賢明だ。さもないと、炎上などでブランドが傷つくことになる。

 また高級ブランドならオーダーメードを増やすという手もあるし、ビッグデータを使ったAI(人工知能)によって需要予測の精度を上げるということも考えられる。

 バーバリーは今回の反発を受けて、売れない商品に対して「再利用、修理、寄付、そしてリサイクルという取り組み」を強化すると発表している。だが世界的に見ると、年間9200万トンが廃棄処分されており、バーバリーだけでなく、業界全体として同じような措置を取らない限り、環境へポジティブなインパクトを与えるほど状況を変えることはできない。

 とにかく、環境のためだけでなくメーカー自身のためにも、まず大量に生産して焼却処分するといった無駄はもうやめるべきだ。各メーカーが、すぐにでも変革に乗り出す時期に来ているということだろう。