深センの巨大繁華街、東門老街(筆者撮影、以下同)

 中国の経済成長が減速している。2018年4~6月のGFP成長率は6.7%。目標の6.5%を上回ったが、個人消費に減速傾向がみられるという。さもありなん、である。深センの商業施設に集まる人たちも、買い物に熱中する客は見当たらない。ほとんどが「手ぶら」だった。

 筆者は中国・深セン市の羅湖区の中心部にある「東門老街」(ドンメンラオジエ)を訪れた。明の時代に市場が立ったといわれる、深セン最大の歴史ある繁華街である。地元市民のみならず地方からも多くの人が訪れ、1日に約30万人の観光客でにぎわう。

溢れる商品に振り向かない客

 右を見ても左を見ても、モノ、モノ、モノ――。ファッションの最先端の街を標ぼうする東門老街は、衣料品や靴、鞄、日用雑貨と、ありとあらゆる商品であふれている。

 17万6000平米の敷地面積に28の大型商業施設が集まり、売場面積は合わせて約80万平米という。「よりどりみどり」とはこのことだ。立ち並ぶ店を前にして、さぞやお値打ち品が発掘できるのではと期待が高まった。

 しかし商品をみていくと、その気持ちはどんどん萎えていった。ワゴンに積み上げられたTシャツはたった10元(約170円)。投げ売り同然だが、たとえ10元でもこれを着る気にはなれない。流行のサンダルも価格は安いが、その寿命の短さは想像がつく。数回履けばごみ箱行きだろう。