思い描いていた夫婦の姿はどこに・・・。

 私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化を見つめ、さまざまな研究活動を行っています。

 本コラムでは、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。

男女双方が「自分たちは割を食っている」と考える日本

 ここ数回のコラムでは博報堂生活総合研究所の「家族調査」を基に、30年前との時系列比較の観点から、日本の家族の今を考察してきました。本コラムでは切り口を変えて、海外比較の観点から、日本の家族にまつわる意識の特徴を見ていきたいと思います。

 生活総研では長期時系列の「家族調査」に加え、「家族に関する4カ国比較調査」として、日本と中国、タイ、スウェーデンの4カ国の男女1600人に家族観や夫婦の役割分担意識などを聴取しました(調査詳細はコラム末尾に記載)。ここからいくつか、特徴的な調査結果をご覧いただこうと思います。

 まずは「家庭生活における男女平等意識」について。

「あなたの家庭生活では、男女の地位は平等になっていると思いますか? それとも、男性、女性のどちらかが優遇されていると思いますか?」との質問を行い、「どちらかといえば女性が優遇されている」「ほぼ平等になっている」「どちらかといえば男性が優遇されている」の3択から答えてもらいました。その回答がこちら。