このままでは、台湾は「中国による台湾の国際的空間を圧縮する行為」が「やがて外交関係をゼロにする」との危機感を強めざるを得ない。

 また、現在、辛くも世界貿易機関(WTO)加盟(2002年)とWHO総会オブザーバー参加の地位を維持しているものの、今後中国による国際機関などからの締め出し圧力が一段と強まって、台湾の孤立・弱体化が進み、再び国民党政権時代のように中国の影響下に組み込まれる恐れが大いに懸念されるのである。

軍事工作:台湾周辺海空域からの軍事的圧力

 尖閣諸島周辺をはじめ、わが国の周辺海空域で中国軍の活発な活動が常態化していると同じように、中国軍は台湾周辺海空域での活動を活発化させ、軍事力を背景とした威嚇を強めている。

 中国は、2018年1月、台湾との事前協議を行わないまま、台湾海峡の中台中間線の中国側に新たな民間航空路を設定し運用を開始した。

 同中間線の台湾側には、台湾軍の3つの訓練空域が設定されているが、そこでの活動を妨害する狙いが込められていると見られている。

 また、2017年12月、蔡総統は記者会見で、中国軍機が台湾周辺で活動を活発化させているとして、中国への警戒感を示した。

 そのように、中国軍の戦闘機(H-6、Su-35など)や艦艇(空母遼寧を含む)が常態的に台湾本島を周回している。

 これまでの台湾は、極力中国を刺激しないよう、中国軍の活動に対する表立った非難を抑制してきたが、2017年の「国防報告」では、台湾周辺海空域における中国軍の活動の実態を次の図をもって公表した。