同社は11月にモバイルOSの最新版「ウィンドウズ・フォーン7(Windows Phone7)」を市場投入したが、その出足はいまひとつ。もはやマイクロソフトはスマートフォンの市場競争から脱落したと見るアナリストもいるという。
こうした状況を打破する狙いがあるのか、ノキアのエロップCEOは1月27日の決算発表で「当社は、低、中、高価格帯の端末それぞれで個別の戦略を取る」と述べていた。これが3つ目の理由だ。
エロップCEOは「新たな組織体制のもと、ノキアは生態系(エコシステム)を構築するか、あるいはほかの生態系に参加する用意がある」とも述べている。
米ニューヨーク・タイムズは、この生態系とはOSのことを指しており、ノキアがこれまでこだわってきたOS「シンビアン」を米国の高機能端末市場では採用しないことを意味すると伝えている。
銀行アナリストが大胆提言
なお前述のベレンベルグ銀行アナリストは、書簡の中で次のように提言している。
「元同僚の両氏が排他的な契約を結び、マイクロソフトはノキアにウィンドウズ・フォーン7のライセンス供与をすべきだ」
「そうすることでノキアは膨れ上がった研究開発費を削減できる。ノキアのシンビアンOSは低中価格帯の携帯電話専用にし、高機能端末にはウィンドウズ・フォーン7を採用してコスト削減を図るべきだ」
またこのアナリストは「ノキアが米インテルと開発している『ミーゴ(MeeGo)』は捨てるべきだ」と大胆な提言もしている。
ただニューヨーク・タイムズは、アナリストらは両社提携の効果に懐疑的だと伝えている。
例えば前述のカナリスのアナリストは「高機能端末の市場で苦戦する両社が協力するのは自然な流れで、両社は強力なパートナーになり得る」としながらも、「たとえ業界大手の両社がタッグを組んだとしても、成功する確証は全くない」と話している。
一方で米ガートナーのアナリストは、「携帯電話市場という分野に限って分析すると、マイクロソフトは消費者にとって魅力的な企業ではない」と結論づけている。
